ナツメグのサクっと作曲 ”コツを探れ”

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【ミックスあれこれ】モノリードを書き出す際、ステレオで書き出すのはダメなのか(違いはあるのか?)

 昨日に引き続きモノ・ステレオファイル書き出し問題です。
よく、モノで書き出すと音に芯がでる、とか定位感がはっきりする・・という意見を目にしたので、本当にそうかな?と試してみました。
だって、モノ音源はステレオファイルだろうがモノファイルだろうがファイルが2つか1つの違いであって理屈で言えば音が変わるはずないと思ったからです。でも当たり前のことだからこそ自分で調べてみないとモヤっとすることありますよね。
 

比較条件

 
 材料としてR&Bなどでよく使われる三角波リードで調べてみました。
OmnisphereのプリセットのRnB Triangle Leadという音色を使います。
 
 聴いた感じ完全にモノですし、Omnisphereのカテゴリ名も思いっき「SynthMono」の中に分類されています。
 
さて、
 
まずOmnisphereはステレオトラックでしか立ち上げること出来ないので、MIDIトラックで打ち込んだ音はステレオトラック(インストルメントトラック)から出ます。
そこで一旦ステレオのオーディオファイルに書き出してLRのパンを右40に合わせた分析が次です。メーターはWAVESのPAZ ANALYZERを使用しています。
 

f:id:natsumegu629:20170521113738p:plain

 
 
 
次に
上記のステレオファイルをモノに分割してLチャンのトラックだけをパン右40に振り再生してみます。
ただしステレオで鳴らしたぶんより6db、RMS値が下がったのでそのぶんボリューム補正します。
この条件での分析が次です。
 

f:id:natsumegu629:20170521113817p:plain

 

結果は、やはりモノでもステレオファイルでも変わらない

 
 2つのメーターで見比べても、定位も周波数帯域の分布も全く変わりませんね。当たり前と言えば当たり前ですが。ステレオの方が0.1db RMS値が上がってますが変化の範囲には入らないと思います。波形を拡大してみても当然2つの違いはありませんでした。
 
 では実際この二つを実際に聴き比べてみます。
前半がステレオトラック、後半がモノトラックを2ミックスバウンスしたものです。
 

 
全く定位感や音質・音色変わらないように思えます。
 
 わざわざ、ステレオで成り立っている音色をモノにして、新しい芯がある音色にするというのはワザとしてありな気がしますが、もともとモノの音色をステレオで書き出すか、モノで書き出すかの違いはやはり音量の違いの他にはないと結論が出ました。
 
 
 
おわりに
 モノファイルとステレオファイルの書き出し音の比較、いかがでしたでしょうか?
エンジニアさんの扱いやすさから考えるとモノはモノで書き出したほうが良さげな気はします。無意味にトラックが増えるのは効率上よくないですもんね。そのぶんエンジニアさんは本来の作業に時間が取れますから良いミックスができる可能性が高くなります。
 しかしながら、
”迷った時はステレオで”の僕の鉄則は今後も変える必要はないようです。
 
 
 
 
 
*「サクっと作るBGM」という動画シリーズを公開してますのでぜひご覧ください。

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