ナツメグのサクっと作曲 ”コツを探れ”

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適正な音圧って?音圧を考える上で必要な知識とは?

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 今日は適正な音圧感を出すための基礎的な話です。
無理やりCDと同じ音圧レベルまでマイキシマイザーで出そうとしても最初のイメージとかけ離れて悲惨な音になったりしますよね。僕もまだまだ勉強中ですが、やはり押さえておきたいポイントは押さえておきましょう。
 
 
まず、3つのメーターを理解しましょう。
 

基準になる3つのメーター

 

VUメーター(RMSメーター)

音響機器において音量感(volume unit)を指示するための測定器
信号が来てから針が触れるまで0.3sec(300ms)の時間がかかるため、瞬発音に対しては低く表示される。
 

Peakメーター

音声信号をデジタル化し表示します。VU系と違い、瞬時の信号レベルを捕らえ表示します。
 
 

ラウドネスメーター (CMなど放送業界に関係する音楽制作者は理解した方が良い)

「より人間の聴感に近い音量」を計算式でシミュレートしたもの。
 ITU(International Telecommunication Union:国際電気通信連合)によって国際標準が示されたもの。  参考サイト:SynthaxJapan web
基準は-24LUFS
 
 
以上、3つの数値を気にしながら音圧調整します。基本はVUメーターとPeakメーター。
 

音圧調整の手順

 DAWでマスターまで作る場合、ミックス時全てのオーディオトラックのフェーダーをグループ化して、メーターを見ながら全体を調整できるようにしておくと便利です。いざ曲が出来上がってマスターのメーターを見たら真っ赤っかなんてことになって、一つ一つフェーダーを下げていくのは大変です。せっかくアレンジしながら作った全体のミックスバランスが崩れてしまいます。
 そしてVUメーターで0VUを超えないよう全体調整していきます。
 最近のプラグインは単体で音量が大きいものが多いので、最初に僕はあらかじめフェーダーを下げ気味にしておきます。
 

ありがちな失敗

 
初心者にありがちな失敗例1
 
リズム楽器で、相対的レベルは高くなくても瞬間的にピークに達する(ピークメーター)パートがあり赤が付くので全体レベルを上げられない。
 対策
楽器によってはリミッターをしっかりかける。打ち込み時にベロシティ値に気をつけて打ち込む(パーカッション系など特に)。ピークつきそうな音色を避ける。
 
初心者にありがちな失敗例2
 
ローカットされていない生楽器などでやたらVUメーターが上がってしまっていて、メーターがふれてるわりに聴感上、音量が小さい。
 
対策 
生楽器や、無駄な低音があるパートにローカットをかける。
 
 
 そして、最後の最後にマキシマイザーで調整をします。最初にOut Ceilingを-1に設定します。僕は最高でもスレッショルドを-4db程度の調整に抑えます。それ以上突っ込むと不自然になるし、思っていた音像と変わってくるからです。納得いかないときはミックスに戻ってやり直したほうが無難です。
 CDの音圧に無理やり近づけるようなことはさすがに最近しなくなりました。
ゲーム音楽や放送音楽の2ミックス納品の場合はそのまま納品しますし、もしその音源がCDリリース作品になるのであれば最後の行程はプロのマスタリングエンジニアに任せることにしています。
 
 放送で使う音楽などはラウドネスメーターを見ながら規格に収まるよう調整します。ラウドネス規格というものがあるので、必要以上に音圧をあげることはしない方が良いです。ラウドネス規格は音量のばらつきを抑えるために放送業界で使われているものですが、最近はゲーム業界でも基準にされているようです。ラウドネス規格については説明するとかなり長くなるので興味がある方は調べてみてね。
 
 
おわりに
 
 音圧自体はプラグインをかければそこそこ歪ませずにあげることはできますが、
重要なのは作曲した時の自分のイメージした音像・音質で、しかも十分な音圧感も出せるかというところですね。しかしながら業界全体の流れとしては音圧競争は終焉に向かっていると感じます。